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『教育虐待』石井光太

石井光太著の『教育虐待』読了。
ルポ 誰が国語力を殺すのか』から注目している作家さん。

一部の小中高生の驚くほどの読解力のなさだったり、Twitterにいる一部の大人の読解力のなさに、前から気になってたけどこの数年気になりすぎて言語や発達障害、教育に関する本やネット記事を読むようになった。

心理学にも興味があるので、犯罪者や社会不適合者の人格形成にも興味津々なんだけど、そこはもう幼少期の家庭環境と両親やそれ以前の親族の遺伝子が大きな要因だと思ってる。
家庭環境のマイナス要因といえば、親による虐待だ。いわゆる毒親。ちなみにおれの親も毒親系。

この本は、親であったり、教育に関わる子どもたちと接する人は全員読んだほうがいいと思うけど、毒親育ちの人が読むとイライラムカムカするかもしれない。もしくは泣きたくなるかもしれない。

虐待でも教育だけに絞った虐待は、自分自身は経験してないし、まわりでも見たことがない。それは住んでいる地域柄、東京や大阪のように素晴らしい私立学校がないからかもしれない。
知り合いで父親が医者で、兄弟2人いる家族で、次男が頭が良く勉強しなくても長男の勉強しているのを横から見ているだけで覚えてしまう頭脳で、でも両親はその子の学年で学習する以上の勉強はしないように制限してた。真に頭のいい家庭だなって思った。

そういう家庭よりこの辺りに多いのは、本の中でも書かれていた『自分には学歴がないから子どもに押し付ける』タイプのほう。
姉弟の2人がいる家庭で、姉はとくにぼーっとしたタイプの女の子で、手先は器用だけどじっとしてるのは嫌いで、我が道をゆく子。彼女が小学4年生くらいのときのある日、マンションのドアを開けたら、「もう小学校4年生にもなるんだぞ! わかってんのか!(実際は方言付き)」と父親が自宅前かどっかで怒鳴っていた。吹き抜けだからアホみたいにエコーで響くんや。
この父親が怒鳴っていたのは、しつけではなく勉強のこと。この家族はしつけのしの字もしない。だから勉強はするけど他人の迷惑はちっとも考えない。
姉は要領はあまりよくないけど、コツコツ勉強はできるようになって、この土地では人気の私立一貫校に通った。弟は偏差値70+の公立高校を希望してたけど、小学生のころから勉強の仕方を見ているとそんな能力はなかった。なんでその高校を受験することを、学校の先生とか塾の講師が反対しなかったのかわからないけど、不合格でかなりショックを受けていたらしい。
親はまあ、「勉強しろー!」とは言うけど、自分らがしてこなかったから勉強の仕方がわからず学校と塾任せだっただろうし。あと、弟を怒鳴ったりしているところは見たことがない。兄弟間差別もあるのかもね。
それでも好きなことはさせてもらっていたみたいだから、プチ教育虐待だろうか。

べつの私立一貫校に通う女の子は、母親との関係があまり良くなかった。教育虐待ではなく、虐待と言えると思うけど、こちらの女の子ものんびりしたタイプで、表面上は気にしてはなさそうだった。
母親が娘に対して気に入らないことがあると、彼女の分だけ食事を作らないとか話をしないとか。食材は冷蔵庫にあるので、彼女は自分で作って食べることもあったようだ。中学生にもなれば食事くらい自分で準備できるでしょって言う人もたくさんいると思うけど、母親が忙しいから、病気だから、手抜きしたい日だからとは違うよね。
母親が洗濯中に怒ったならば、手元にあるジーパンやベルトなどで顔を叩かれる。
娘は睡眠障害の症状を見せていた。部屋にいてベッドの上に体操座りでいたら、いつの間にか朝だったとか、日中はほぼ居眠りしているだとか。発達障害の特性かと疑っていたけど、どちらかというとうつ症状だったのかもしれない。
母親と話せば、娘の将来のことをちゃんと考えていて、愛情があるのもわかった。行き過ぎるんやなぁ。父親は根っからの優しいひと。恐妻。

今回は教育に焦点を当てた虐待についてだったけど、やっぱり虐待は全体で見るべきだと思う。虐待を受けた子どもは教育だろうがなんだろうが、脳はやられるし人格形成はうまくいかないし情緒は不安定だし。

少子化はこういうところも原因になってると思うんだよね。不幸せな子ども時代を送って大人になって、子どもほしくないでしょ。

ルーカ

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