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怒る老人と謝らない中年

どちらも男。
市営バスに始発駅で乗り込むところ。
おじいさんが先にステップを上がり、その後ろから中年のおっさんがつづく。
(おれは2人の横からステップを上がったところ)
隣で突然おじいさんが後ろからやって来たおっさんを怒鳴りつける。
どうやらおっさんがおじいさんの足を踏みつけたようだ。

足元は見ていなかったが、2人の表情は真横で観察した。

おじいさんは振り返った瞬間はまだ怒ってなかった。
3秒くらいの間があった。
おっさんは無言でおじいさんを見つめるだけ。
そしておじいさんは怒鳴り始めた。

「馬鹿にしとるんか!」

いろいろ怒鳴ってたけど聞き取れたのはそこだけ。

おっさんは苦虫を噛み潰したような微妙な表情で微動だにしない。
おじいさんは文句を言いながらも、前方の一人掛けの椅子に座った。
おっさんはおじいさんよりも前の、一番前の運転手さんの後ろの席に座った。
(おれも前方のちょうど2人が見える席に座った)

おじいさんは一人で座ってからも、自分の靴を見ながら文句を言っていた。

おじいさんを観察すると、年齢は70歳くらい。
Tシャツ、ハーフパンツ、ソックス、スニーカーはすべてスポーツブランドで、痩せ型ではあったが筋肉質だったのできっとジムに通ったり運動をされているんだろうなと思う。
スニーカーは買ったばかりに見え、型崩れは全くない。
おしゃれで清潔感もある。

おっさんを観察すると、年齢は40代の終わりか50代前半くらい。
スーツ姿に先のとんがった靴。(靴はバスに乗るときに見た)
中肉中背。
髪はきれいに整えてあり、彼も清潔感はある。

おじいさんはひと駅目かふた駅目ですぐ降りるボタンを押した。
バス停に着いて停車すると、おじいさんは道を塞いでいたお客さんにすみませんと挨拶して歩いて行った。
おっさんの座っている席まで来ると、耳元でなにやら言って降りて行った。
そしておっさんはおじいさんが降りて行ったあと、ニヤニヤ笑っていた。

すぐキレるじいさんとかおっさんはときどき見かける。
空港なんかに行くとよく見かける。
しかし今回のおじいさんの怒りは真っ当なものだと思うんだが。

他人の足踏んだらふつう反射的に謝らねーか?

「あ、すみません」って。

この中年のおっさんは発達障害(ASD)なんだろうな、母親から甘やかされて育ったんだろうなとおっさんの行動から推察した。

始発のバスで中には客はまだ誰も座っていないのに、自分がいちばん最初に乗りたい。まわりが見えない。いちばん前の運転手の後ろの席に座りたい。怒られていてもわからない。自分が悪いのに笑う。

発達障害で他者の関わり合いが苦手でも、幼少期から親が甘やかさずに社会ルールを教えていれば、大人になったときにまわりのひとたちから蛇蝎の如く忌み嫌われることもないんじゃねーか。こんなふうに公共の場で赤の他人から怒鳴られるこどもの将来を想像しないんだろうか。

遺伝だからな教えられるわけないか。

きょうのエックス(ツイッター)のとあるポスト(ツイート)を見ていて、この最近の出来事と重なった。

あと先の尖った靴を履いてる男は嫌いだ。

ルーカ

くだらねー話をするだけ
一人称は「おれ」
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